猫、道を横断す

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ある日の早朝。歩道を歩いていたら、目の端が動くものを捉えた。それはあっという間に道路を

渡ってきた。猫である。それほど交通量の多くは無い道とはいえ、轢かれずに良く渡ってくる

ものだ、とちょっと感心してしまった。歩みを続けていたら、なんとはなしに「猫ふんじゃった」

の旋律が頭をよぎった。

この曲は、誰もが音楽室のピアノなどで、ちょこっと弾いたことがあるのではないか。

曲の由来は諸説ある。ドイツでは蚤のワルツと呼ばれるこの曲を誤訳したのだとも言われて

いるが、良くは分かっていない。そして、この曲の譜面を見せると、大抵の人が、

調号をみてびっくりするのだが、この曲は、変ト長調、ないしは嬰へ長調である。

変トなら、フラットが6つ、嬰へならシャープが6つ。前に触れた、禁じられた遊びがホ短調で

シャープが1つなのに比べると随分楽譜が複雑に見えるようだ。

適切かどうか分からないが、それは複雑なのではなく、単に、表現されているものの相違と

とらえて良いのだ。事実、ピアノで猫ふんじゃったを弾いたら、難しいと思うひとは殆どいない

はずである。なんでもそうだが先入観を持つのは良く無い気がする。この曲には合いの手を入れる

バージョンがあるが、ちょっと弾けるひとなら、これを一人で弾ける。高い音でメロディーを

入れるのを左手で弾いてしまうとラクだと思う。鍵盤楽器の利点の一つはだれでもすぐに音を

出すことが出来ることにある。

そしてちょっとでもメロディーなどを指一本で弾いても案外楽しいのだ。楽器に触れて、この

猫ふんじゃったを弾いてみてはいかがだろう。朝見た猫は、踏まれずに道を渡ったから、

あなたにもきっと弾けると思う。

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