リパッティは素晴らしいピアニストだと再認識した「音楽の泉」

2か月 ago roman 0
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日曜の朝は起きて暫くしてからラジオを聴く。

これは土曜日も同じだし、考えてみると平日も同じなのだが、土日のラジオはオフに切り替わっている感がある。

とりわけても「話とかかる音楽双方を存分に楽しむ」ことが出来るのが「音楽の泉」というラジオ番組なのだ。

以前もこの番組について取り上げたことがある。音楽の泉~ラジオ 皆川達夫解説

この時にも書いたが、このラジオ番組の語り手である皆川達夫氏はルネサンス期、バロック期の音楽の

専門家である。それでもその専門に捉われ、学術的な話ばかりをするのでもなく、分かり易い表現でその日に

流す音楽や時には演奏家について教えてくれる。

人柄をうかがわせる柔らかな、しかし充分に芯のある語り口に魅せられるひとも多いだろう。

先日、その皆川氏の番組で、ルーマニアのピアニスト、リパッティの弾くショパンのワルツを数曲取り

上げていた。

個人的には特に好んで聴くことのないショパンのこの曲集だが、リパッティがどのように弾くのか

ちょっと気になった。

ウィーン国際コンクールに17歳で第二位入賞して、その時の審査員の一人であったアルフレッド・コルトーに

その才能を買われ、パリに行くようにと進められ未来を拓いたひとだ。

第二次大戦中にスイスにナチスを逃れて移住したが、その才能を惜しまれながら白血病で33歳の若さで

早世した。シャルル・ミュンシュに指揮を習い、曲も書いたという。

その在世は1917年3月19日 – 1950年12月2日であった。

レコーディングが余り多くないピアニストとしても知られている。その数少ない録音の中で、改めて

ショパンのワルツを聴いてみた。第三番、a-moll、イ短調の、ことさらにメランコリックなワルツを必要以上の

感情をこめずに弾く。その粒ぞろいの素晴らしい音色はここでも活きていた。

子犬のワルツとして知られる曲で、耳を奪われた。テンポが速いのである。ショパンは、コルトーが得意とした

作曲家のひとりであったが、恐らくコルトーより随分と速い子犬のワルツだと思う。

バッハやモーツァルト、カラヤンとのピアノコンチェルトの競演も残しているし、ヌヴーの曲なども

確か弾いているレコードが残されているはずだ。

往々にして、我々日本人というのは「早世の天才」が好きなようである。私自身はどちらともいえないの

だが、長生きするピアニストが多いので余計にそう感じるのだろうか。

ともあれ、リパッティが、いともたやすく様々な楽曲を弾きこなすのを聴くと、このひとは本当に

才能の豊かなひとで、凡庸な演奏家が欲しくてたまらない能力を十二分に持っていたのだと痛感した。

楽曲を自在に弾きこなし、しかも曲の持つ何かを引き出せる演奏家。

そこまで行くのが実に大変なのだが、リパッティは簡単にそのハードルを越えたのだなと、

皆川氏の番組で演奏を聴いてみて、再認識したことであった。

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