【ギャラリーリサイタル】を聴いた
昨日、友人の生徒のリサイタルに誘われて行ってきた。
場所は、東京都府中市。中久という古くからやっている酒屋の営む蔵カフェの二階のギャラリーを
展示会やリサイタルに利用できるのだが、そこでのバロックリサイタルだった。
オーケストラで普段見聞きするオーボエと比べ、バロックオーボエは近くで見ると
素朴な形をしているように感じた。
木管楽器はオーボエとファゴット、オーボエ2本に、スピネットというかなり小さなチェンバロの
トリオ構成で、演目はヴィヴァルディを中心にイタリアの作曲家のものだった。
ちょうど、3/4はヴィヴァルディの生誕339年であって、その日に演奏したかったけれど
スケジュールが合わず今日になりました、というオーボエ奏者のMCだった。
奇しくも6年前の東日本大震災の日である。
そんなことをぼんやり考えるうち、いよいよリサイタルが始まった。
1861年に建てられた蔵を利用しているからか音も悪くない。空間を気持ちよく音が響くのだ。
座席が奏者から近かったので、手元も良く見えたが、かなり難しい曲のようだった。
一息入れる感じでヴィヴァルディの四季の冬から第二楽章を編曲したものや、スピネットで
バッハのゴールドベルク変奏曲のアリアを演奏したりしつつ、個人的には余りなじみのない
バロックの木管のための曲を聴いていると、自分が別の空間に存在しているような、不思議な気持ちになった。
奏者に尋ねたら(あとで話を聞くと機会を得たので)「息はモダンと余り変わらないですが、指(運指法)がある意味自由な部分もあって、それが難しいし、モダンなら簡単に出来ることがそうは出来なかったり、逆に表現に幅が出来る感じがする」など、貴重な話をして貰えた。
木管の柔らかな響きに、やや金属的でもあるスピネットの響きが絡み合うと、ヴィヴァルディの曲の良さが浮き彫りになるように思われた。
こういったミニ・コンサートなどを、気軽に聴けるような環境が近場にあれば良いな、と思う次第である。
生の音が全てとは言わないが、実際に見聞きするということの大切さを感じることができた良い日となった。