今さらながらカラヤンの話

2年 ago roman 0
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ヘルベルト・フォン・カラヤン。

クラシックなんて聞かない、そんなひとでも多分知っているだろう、知名度の高い、名指揮者。

オーストリア生まれの貴族で、名前のフォンはその証である。

さまざまなエピソードのある彼であるが、ちょっとかいつまんで幾つか、好きな話を書いてみる。

カラヤンと同時期に活動もしていてレッスンも受けたことのある、指揮者、岩城宏之の本で

知ったのだが、カラヤンはオーストリアのひとだとずっと思っていたのだが、実は、

カラヤンには半分、ギリシヤの血が入っているそうだ。

なるほど、あの容姿を考えると、納得する。

帝王と呼ばれた彼は、自分が認めた写真以外の使用を絶対に許さなかったというが(このことは

以前から知っていた)確かに端正な顔立ちと仕草など、カリスマ性たっぷりの帝王であったのは

間違いないと思う。

岩城宏之がある交響楽団の副理事長を務めた人物から聞いた話によると、カラヤンと副理事長が

ウィーンアカデミーで同級で研鑽を積んだという縁があって、カラヤンが世界にその名を

広くしらしめてから、一度、副理事長はカラヤンの故郷のギリシヤに訪れたという。

その時の感想。

「カラヤンが特別に魅力のある容貌をしているのかと思っていたが、なんのことはない、村人は

みなあの顔だった」

そう笑って述懐していたそうだ。

これを読んだ時、同様の他の演奏家絡みの話を思い出した。

こちらはイタリアのどの地方か忘れたが、誰か音楽家が、ポリーニに縁のある場所を

訪れた時、移動するのに乗ったタクシーの運転手さんが、こう言ったという。

「俺たちはみな、ポリーニ位にはピアノが弾けるんだぜ」

これが本当なら凄い話で、ラテンのりの冗談なのか本気が入っているのかは分からない。

話を戻すと、カラヤンはスピード狂としても知られていた。

スポーツカーをバリバリ乗り回したりジェット機を操縦したりしていたらしい。

それに関連する話をひとつ。

スイスのアルプスのあるスキー場、と言っても自然のままのような、かなりの上級者コース

でのこと。管理者であるスイス人が、ものスゴイスピードで直滑降してくるスキーヤーを

見て、

「あれじゃあ、転ぶか怪我をする、なんて滑り方だ!」

と慌てたという。

当のスキーヤーは全然無事でけろっとしていた、それがほかならぬカラヤンだったそうだ。

運動神経も大いに発達していたのだろう。

指揮者も体力勝負である。コンサートでの「消耗」などは半端ではない。

精神的な疲弊もそれに伴っていることは言うまでもないけれど…

積極的に聴く指揮者ではなかった、そんなカラヤンのCDを、意識せずにパソコンで流して

いた。

意識せずに、というのはカラヤンを聴こう、という意図で聴いたのでなく、取り込んだCDを

ランダムに流す感じでたまたま聴いた、その時、モルダウが流れた。

渦巻く水を感じるような演奏であった。

振っているのは誰だろう、どこのオケかな。

見てみたら、カラヤンの振るベルリンフィルの演奏だったのだ。

なんというか、上手いのである。いや、上手いのは当たり前なのだが、水の流れというより、

渦巻く激しさを感じる部分があったので、ちょっとびっくりした。

グラモフォンの「モルダウ カラヤン名曲コンサート」というCDによる。

弦のレガートのトゥッティの美しさとじわじわとこちらにせまってくるような演奏は、

さすがだと思った。ベルリン・フィルとウィーン・フィル。世界の二大オケと呼ばれる

この二つのオーケストラの常任指揮者を長く務めあげた帝王。

一時期の音楽界を牛耳っていたとまで言われる、カラヤンである。

私のカラヤンのベスト盤は、モーツァルトのレクイエムなのだが、CD化されていない

音源のものに深く心を打たれて以来、他のどのレクイエムはどうにもピンとこない、

それを「モルダウ」を聴いて改めて思い出した。

カラヤンのエピソードはまだまだあるので、そのうち書いてみようと思う。

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