d-moll(ニ短調)づくし
書き始めはテンペストがそろそろ形になり始めて来たことからの思いつきからだったが
ちょっと思い浮かべてみたら、古典派の、二人の作曲家の曲とバッハの曲を想起した。
調性についてはなんのことやら分からないという方もおられるだろう。
学生の頃作曲家の先生が、「音には色がある」とおっしゃった。
そこから行くと「調性には色彩がある」と言えるかと思う。この調性の話の説明は
長調と短調の違いから始める必要があり、かなりの文字数を要するので
今は書かない。
ニ短調で名高いのはバッハのオルガン曲、「トッカータとフーガ」であろうか。
「ちゃららーん、ちゃららららーらーん。」
ラソラー ソファミレ #ド レ
という曲である。確か、鼻から牛乳と歌われたことがあると思う。
これを他の調性で聴くことはちょっと考えられない。レというのは
ドから全音の間隔でお隣さんである。レの音から始まるこの調性、
ニ短調は、鋭さがあって、また深みを生み出しやすい感じがある。
先に挙げたベートーヴェンのピアノ・ソナタ第17番ニ短調は
「テンペスト」と呼ばれるが、こちらもちょっと不穏なものをはらんだ
気配がある曲だ。
個人的な好みからは少し外れるのだが、モーツァルトのピアノ
協奏曲のうち二曲しかない短調の曲の一つ、第20番もまた
ニ短調だ。
波のうねりのようにオーケストラが奏で始め、比較的静かにピアノが
入ってくる。この曲の第二楽章は有名で、調性は並行調にあたる
変ロ長調だ。この優雅な二楽章は「ロマンツェ」と呼ばれ、映画
「アマデウス」でも用いられた。私がモーツァルトの曲でニ短調の
曲で好きなものはと問われたら、オペラ「ドン・ジョバンニ」か
未完の「レクイエム」を挙げるが、思い浮かんだのがこの協奏曲だったので
ご紹介してみた。
調性には色彩があるということの関連付けはもっと詳しくやってみたいことなのだが
こればかりは感覚的なものが益々強くなるので説明が難しいだろうとは思う。
ただ、何かの曲を考える要素のひとつであることは確かなのだ。