雨の日の猫は眠い

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猫は良く眠る。良く寝るから寝子という字をあてる、と内田百間も書いていた。

雨の日はことさらであるらしい。

そんな猫に倣ったわけではないが、自分も眠かった。

今朝は昨日の雲がどこかに飛ばされてしまったような、抜けるような青空である。

しかし寒い。風が強いためであるらしい。

春の気配はそこここにあるが、空気は刺すように冷たく、冬支度を簡単にやめるわけにも

いかない。

そんな出掛けのBGMは、ドメニコ・スカルラッティのソナタである。

このイタリアの作曲家は、父のアレッサンドロとともに、イタリアバロックの一時期に位置する

重要な作曲家であるが、このピアノのための(当時はチェンバロであったろうが)ソナタが

有名である。ソナタ形式をとってはいるが、単一楽章という、独特な形である。一楽章で一曲

となる。

さまざまなピアニストがこの曲を弾いているのだが、手元にある保存版はホロヴィッツによるもので

ある。

この、バッハとヘンデルと同年に生まれたスカルラッティのソナタが、春めいた

しかし冷たい空気を伝わって、美しく響くのを聴いていると、自分でもまた弾いてみたくなった。

親しみやすいメロディーから、複雑な構成のものまで、さまざまな顔を持つこのソナタ群は実に

500曲にのぼるとも言われている。

スペインで何年も歳月を過ごしたスカルラッティの独特な風合いは、今もわたしたちを魅了して

止まない。面白い曲も沢山あるので、ちょっとピアノが聴いてみたい、そんな時にもお薦めである。

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