ガーシュインはお好きですか?パリのアメリカ人

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ラジオでクラシックの番組を聴いていた。

余計な解説や耳触りに感じることもあるようなやり取りを聞かずに済む

国内放送の番組は少ないので、比較的聞く頻度の高い番組だ。その中で、

音楽家の苦労というか、葛藤を感じるような話を聞いたので書いておく。

その時流れていたのはガーシュインの「パリのアメリカ人」だった。

ミュージカル映画のジーン・ケリーとレスリー・キャロンが出演している「パリの

アメリカ人」は、「ス・ワンダフル」「アイ ガット リズム」などの、ジャズでも

おなじみの名曲の数々で彩られる佳作だが、放送で聴いたのは、映画の数十年前に作曲された

交響詩「パリのアメリカ人」の方であった。その曲が作曲される前のこと。

ガーシュインは作曲家として「自分はこれで良いのか」と深く悩んでいたという。

そして、新たにクラシックを学ぼう、という決意とともに、パリに旅立つ。

1920年代の話だ。

彼の目的は、ラヴェルなど、著名でかつ才能に溢れた音楽家から改めて

クラシック音楽の教えを乞うというものであった。

そしてラヴェルのもとを訪れたガーシュイン。

すると、ラヴェルはガーシュインにこう言ったという。

「君は一流のガーシュインたれ。なにも二流のラヴェルになることは

ないよ」

これに大いに自信と勇気を得たガーシュインは数年パリに滞在後帰国し、

交響詩「パリのアメリカ人」を書きあげたという。1928年に発表された

この交響詩は、ガーシュインらしさ満載で、軽快な華麗さに富み

ウィットに溢れた自由闊達な曲であると思う。

ミュージカルは1951年公開であるから、二十数年後に使われているのだが、

全く時代を感じさせない。

クラシックとジャズの要素の双方を見事にその楽曲に反映させた、稀有の

作曲家、ジョージ・ガーシュイン。

所有しているCDからまたガーシュインを探して、聴こうと思う。

サマータイム、ラプソディーインブルー、アイガットリズム…

挙げればきりが無い豊富で多彩なその楽曲の数々は、多くの演奏家に

演奏されまた録音され、なお今日もその光を失わない。

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